2020.03.22 18:32
春を感じてる、はやかです。
春ですね!!
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春の匂い
そう、花粉の匂いがプンプンしだしましたね。
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小さい頃はこの匂いを嗅ぐとウキウキしたものです。
思いっきり深呼吸してみたりしました。
おかげで今は花粉症です。
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思い出話になってしまうのですが、小さかった頃私はよく「何が美味しいのか」を追求して色んな物を口に含んでいたんです。
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保育園では
作った泥団子を少し食べてみたり、
木に実っている木の実を食べてみたり、
どの花が蜜を吸えるか徹底的に吸ってみたり、
校庭などに白線を書くラインパウダーをおにぎりにして頬張った時もあります。
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よく18年も生きてるな...
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大抵の小さい子からする「やべぇ」事をして憧れの的...にはなりませんでしたね。
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今も同じくです。
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色々やらかして周りの大人を泣かせてましたね。
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今も同じくです。
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こう考えると昔も今も何も変わって無いなーなんて思います。
はい、悪い意味で。
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6歳になり小学校に入ってからは「一般常識」と言うものを学び始めて落ち着いてはきましたね。
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それでも何故か食べてみたい欲求がたまに出てしまい、シャツの端や枕の端をかじってました。
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最近になり周りの方から、食への興味が人一倍強いと言われるようになりやっと気づいたんですよね...
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幼い頃から特にこれといった趣味も無かったので食というものが唯一の飽きない楽しみだったんです。
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でも通っていた保育園がかなり厳しかったのでお菓子などは一切口にすることが出来ませんでした...
きっとその反動でしょうね。
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食
食
食
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中学生になってからはお小遣いで外食まで行けるようになりました。
ここからは更に私のグルメ魂が熱くなりましたよ。
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でも、それだけでは満足出来なかったんです。
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家庭科の授業中、同じ班の子が野菜を切っている最中に誤って指を切ってしまったんです。
かなり深く切ってしまったみたいで、包丁を伝い切っていた大根にまで赤い血が染みていました。
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泣きながら血が垂れる指をもう片方の手で覆う女の子を、もうひとりの班の子が宥めながら先生と保健室へ連れて行く後ろ姿をただ、眺めていました。
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次に私の目にとまったものは、赤くなってしまった大根の欠片です。
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綺麗に見えてしまったんです。
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子供が綺麗なケーキを見て、美味しそうと思うような単純気持ちでした。
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周りの目を盗んで口に入れたその大根は水と血が混ざってすごく変な味がしました。
一言で言うと不味かったです。
ただ、今まで一度も口にした事の無い香り、それに少し苦味もありました。
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確かに濡れた鉄棒を保育園で舐めた時と似たような香りがしました。
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香りが強いせいで明確な味が分からないんです。
どんな味なのかはっきり知りたい、と昔あったような純粋な好奇心がまた溢れるのを感じました。
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家に帰り自分の手を見つめていた私は、針なら痛くならないだろうなんて考えていました。
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最初はためらいましたよ。
ですがそれも最初だけ、気づけば指が絆創膏でいっぱいになるくらい毎日毎日針で刺してたんです。
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皮膚に針を立て、垂直にゆっくり刺してみると案外痛くないんですよ。
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ぷっくり出てきた赤い血を舐めてみると、あの大根の味がしました。
ただ更に濃く、もう少しはっきりした味。
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しばらくの間はそれで満足出来ていたのですが、一滴では正直鉄の香りしか感じられないのです。
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もっとはっきりとした味が知りたい。
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もっとちゃんと味わいたい。
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中学2年生になり、虐められている同級生と仲良くなりました。
彼女のたった1人の信頼出来る存在になり、常に一緒に居て、何でも悩みを打ち明けてくるようになりました。
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下校の時間が来ると、学校の裏にある山に登り、崖の上まで行って秘密基地にしてました。
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中学3年生の冬、下校の時間になっても彼女が見当たらないのでいつもの秘密基地へ行ってみると、崖の下で彼女は真っ赤に染っていました。
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いつも悩みを聞いていた私はそろそろかと思っていました。
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急な崖を枝にしがみつきながら降りていく私の顔は、満面の笑みを浮かべた犯罪者の顔だったでしょうが、私は幼い頃に戻ったような期待と好奇心でいっぱいの感情でした。
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あらかじめ鞄に入れておいたカッターを取り出し、まずは白く細い腕にスッパリと縦の切込みを入れました。
赤黒い液体が白い腕を伝いながら土に染み込んでいくのを見て、中学1年生の時の家庭科の授業をまた思い出してしまいました。
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ドキドキしながら切り込みに口をつけると、塩っぱいのかそれとも味が強いだけなのか分からない、調味料に似たような濃い味が口いっぱいに広がりました。
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時間をかけてじっくり作りあげたその味は今までで1番美味しく感じました。
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手間と時間をたっぷりかけた努力と言うものを「味」という形にする事で改めてその努力をしっかり感じることが出来たんです。
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私、目に見える成果が大好きなんですよ。
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おまわりさん、あなたはいつも私が関わってきた事件に興味を持ち、一生懸命私を探してくれましたね。
知ってますよ、最初から見てたんですから。
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あなたの事は名前は知らないので「おまわりさん」って呼んでたんですけどね。
私だって逃げるの大変だったんですから。
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罪を重ね続けてしまった私はもう、日が昇っている時間帯にはまともに外には出れないし、助けを求めて宗教に依存しても食欲が無くなる事は無いし、今更普通の料理を食べても何でもニンニクで雑に香り付けされた物なんて食べたら吐き出してしまうでしょうね。
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もう人間じゃないですよね。
正に吸血鬼みたいです。
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でも、やっと今日逃げ続けてきた甲斐があったと思えるんです。
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私ね、食べる前には必ずお話するんですよ。
そうすると改めて生きていた方を頂いているという有り難さを感じれるんです。
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そうするともっと美味しくなるんですよ。
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今日までお疲れ様でした。
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本当にありがとうございました。
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いただきます。
このブログはフィクションです。