2020.08.31 19:19
代償サン。はやかです。
「指切り神社...」
その石柱には「指切神社」と刻まれていた。きっとそのまま「ゆびきり」と読むのだろう。
ホラー映画で真っ先に死ににいくキャラでもあるまいしと思いながらも、なぜか俺は神社へと入っていってしまった。
絶対にこの神社が関係している。こんな安易に名前で書いてあるのになぜ気づかなかったのだろう。
中には割と小さめな神社に、その大きさには似つかない広さの雑木林が広がっていた。
夕暮れ時のオレンジに染った神社が、鳥居をくぐった瞬間気味悪く見え、血の気が引いた。
社殿の前に立ってはみたが特に何かが分かる訳でもなく、取り敢ず近くにあったベンチに座りスマホで神社の事を調べてみることにした。
「指切神社...っと」
検索をかけてみると心霊スポットとしても有名らしく1番上にでてきた。そしてそこにはこの地域の忌々しい過去や昔の信仰等なども記されていた。
その記事によると、昔この辺りは一つの村で、なぜかその村にはよく生まれつき「指のない赤子」が生まれたそうだ。それを気味悪がった村人は、自分達には指のない赤子が生まれないようにとその赤子が生まれると生贄として捧げるようになった。村人は指のない子を「指なし子」と呼び、指なし子は災害を招く者として赤子を産んだ母親に自らの手でその赤子を神社の近くに埋めさせた。
そして母親は左手の指を全て切り落とし、その指を神社に備えて「もう二度と指なし子を産まない」と約束をさせられたそうだ。
ただ、指を失った母親は家事ができないと旦那に見捨てられることが多く、村人からの蔑みにも耐えられず赤子の後を追うことが多かった。
それからは村では更に不幸が続くようになり、今度は母親と赤子の祟りだと言われるようになった。
ある時、指なし子を産んでしまった母親が狂ったように暴れだし村人を次々に刺し殺してしまった。母親は村人達に押さえられ「退治」されたが、それを見た一人の巫女は大変悲しみ、自らを最後の犠牲として指を切り神社に備え、「もう二度と同じような悲劇を起こさない」と約束をし、今まで犠牲になった母親と赤子の供養をしてから生贄として神社に身を捧げたそうだ。そしてその巫女の指は今でも神社に祀られているそうだ。
「祀られてるって事は...ここにあるんだよな...その巫女の指がまだ...」
ベンチから立ち上がり再び社殿の前に立ち、数段しかない石段を上る。
お賽銭箱の後ろにある扉から中が覗けるかもしれない。そう思い扉に手をかけた。
「全っ然見えねぇ」
隙間からはほぼ中は見えず、当然扉は閉まっていた。
もう少し扉が開いていれば....
真ん中の隙間に左右の手の指を食い込ませるようにして押し広げようとすると
「ガガッ!!」
「ビビった....」
ただ扉が固かったのか、鍵が掛かっていたのに壊してしまったのかは分からないが...開いてしまった。
...開いてしまったものは仕方がない。俺は靴を脱ぎ中へと上がった。
続
いやー今回で終わりにしようと思っていたんですけど....申し訳ないです...もう少しお付き合いお願い致します。