音、雑音、その他。 はやかです。
それは突然だった
日常が、非日常へと変わった
いや、非日常が日常へ戻っただけだったのかもしれない。
彼女が消えた後も、外は暑いままだった。
僕が好きな夏だった。
耳障りなほどのセミの鳴き声に、遠くのアスファルトは揺らいでいる。
駅に行けば、いつも通り電車が来る。
なんだ、いつも通りじゃないか。
彼女もまた、いつも通りどこかで生きているのだろう。
彼女が居ない2回目の朝が来た。
どこか違和感があった。
違和感を胸に電車に乗る。
今日も蝉がうるさかったが、不思議と耳障りではなかった。
同じ大学のよく知らない奴らと飯を食った。
空いてしまった予定と、余ってしまった金を使うように、夜は別の奴らと騒いだ。
これで良かったんじゃないかと思えるほど楽しかった。
帰り道の駅のホーム、柄にもなくイヤホンを着けて音楽を聴いてみた。
空いてしまった虚しさを埋めるように。
彼女がよく歌っていたアーティストが上にでた。
何も考えずに押すと、知らない曲が流れる。
何故か今の自分を歌っているかのように感じてしまった。
きっとどんな曲でも今はそう感じるのだろう。
僕は馬鹿だから。
電車に乗り、つり革に掴まりながら揺らされる。
携帯に目を落とすと、彼女がカラオケで必ず歌っていた曲があった。
彼女が、そして僕が、大好きだった曲。
このアーティストを見つけた曲。
やめた方がいいと分かっていながら、僕はその曲を押した。
ああ、聞きたかった曲だ。
彼女の声が曲に重なって聞こえた。
確かに聞こえたんだ。
前を見れば窓ガラスには、最悪な顔をした僕がこっちを見てた。
あと少しで終わってしまう。
終わらないで。
もう少しだけ、聞かせてほしい。
あの声を思い出させてほしい。
3分ちょっとで終わった夢の余韻を消すように、違う曲が流れる。
いやに悲しい曲が流れてそれにすら苛立ちを覚えたが、怒る余力もなかったようだ。
すぐに悲しみがこみあげてきた。
電車を降りると片方のイヤホンが床に落ちた。
人混みに蹴られたイヤホンを、哀れに僕は追いかけた。
それを拾うと、今度は拍子抜けするほど明るい曲に変わった。
なんだよ、そんなに僕で遊んで楽しいか。
車のライトが僕の影を目の前に落とす。
1人でとぼとぼ歩く影が惨めで仕方がない。
家に着くと、乱雑に荷物を床に捨てた。
一気に溢れ出た涙が、ぼたぼたとシャツへと落ちる。
イヤホンを外せば、静かな部屋が現実を突きつける。
映画やドラマのようにBGMは流れない。
椅子に座り込むと、やたらと寂しく感じてしまった。
情けなく漏れる声と鼻をすする音だけが僕に寄り添う。
もういいよ。
そんな子供じみた言葉だけが頭を埋める。
もういい、もういいんだ。全ては終わった事なんだ。
そうか、終わった事なのか。
そうしてまた、涙を流す。
こんな無限ループを繰り返してたら永遠に泣けるんじゃないか、もしかしたら自ら流した涙の塩分で体がシワシワになり水分を取られて死ねるんじゃないかと、くだらない事が泣いている脳とは別の脳で過ぎる。
無意味な現実逃避に走っていた。
やめだ。もう考えるのをやめてしまおう。
そしたら思い出にしてしまおう。
綺麗な箱に入れて、今日の涙も語れるものにしてしまおう。
バイバイ、また開ける日まで。
僕は携帯をイヤホンから切断し、最大音量にして、カラオケでよく聴いたあの曲を部屋に流した。
他の誰でもない、僕が大好きな曲を。
日常が、非日常へと変わった
いや、非日常が日常へ戻っただけだったのかもしれない。
彼女が消えた後も、外は暑いままだった。
僕が好きな夏だった。
耳障りなほどのセミの鳴き声に、遠くのアスファルトは揺らいでいる。
駅に行けば、いつも通り電車が来る。
なんだ、いつも通りじゃないか。
彼女もまた、いつも通りどこかで生きているのだろう。
彼女が居ない2回目の朝が来た。
どこか違和感があった。
違和感を胸に電車に乗る。
今日も蝉がうるさかったが、不思議と耳障りではなかった。
同じ大学のよく知らない奴らと飯を食った。
空いてしまった予定と、余ってしまった金を使うように、夜は別の奴らと騒いだ。
これで良かったんじゃないかと思えるほど楽しかった。
帰り道の駅のホーム、柄にもなくイヤホンを着けて音楽を聴いてみた。
空いてしまった虚しさを埋めるように。
彼女がよく歌っていたアーティストが上にでた。
何も考えずに押すと、知らない曲が流れる。
何故か今の自分を歌っているかのように感じてしまった。
きっとどんな曲でも今はそう感じるのだろう。
僕は馬鹿だから。
電車に乗り、つり革に掴まりながら揺らされる。
携帯に目を落とすと、彼女がカラオケで必ず歌っていた曲があった。
彼女が、そして僕が、大好きだった曲。
このアーティストを見つけた曲。
やめた方がいいと分かっていながら、僕はその曲を押した。
ああ、聞きたかった曲だ。
彼女の声が曲に重なって聞こえた。
確かに聞こえたんだ。
前を見れば窓ガラスには、最悪な顔をした僕がこっちを見てた。
あと少しで終わってしまう。
終わらないで。
もう少しだけ、聞かせてほしい。
あの声を思い出させてほしい。
3分ちょっとで終わった夢の余韻を消すように、違う曲が流れる。
いやに悲しい曲が流れてそれにすら苛立ちを覚えたが、怒る余力もなかったようだ。
すぐに悲しみがこみあげてきた。
電車を降りると片方のイヤホンが床に落ちた。
人混みに蹴られたイヤホンを、哀れに僕は追いかけた。
それを拾うと、今度は拍子抜けするほど明るい曲に変わった。
なんだよ、そんなに僕で遊んで楽しいか。
車のライトが僕の影を目の前に落とす。
1人でとぼとぼ歩く影が惨めで仕方がない。
家に着くと、乱雑に荷物を床に捨てた。
一気に溢れ出た涙が、ぼたぼたとシャツへと落ちる。
イヤホンを外せば、静かな部屋が現実を突きつける。
映画やドラマのようにBGMは流れない。
椅子に座り込むと、やたらと寂しく感じてしまった。
情けなく漏れる声と鼻をすする音だけが僕に寄り添う。
もういいよ。
そんな子供じみた言葉だけが頭を埋める。
もういい、もういいんだ。全ては終わった事なんだ。
そうか、終わった事なのか。
そうしてまた、涙を流す。
こんな無限ループを繰り返してたら永遠に泣けるんじゃないか、もしかしたら自ら流した涙の塩分で体がシワシワになり水分を取られて死ねるんじゃないかと、くだらない事が泣いている脳とは別の脳で過ぎる。
無意味な現実逃避に走っていた。
やめだ。もう考えるのをやめてしまおう。
そしたら思い出にしてしまおう。
綺麗な箱に入れて、今日の涙も語れるものにしてしまおう。
バイバイ、また開ける日まで。
僕は携帯をイヤホンから切断し、最大音量にして、カラオケでよく聴いたあの曲を部屋に流した。
他の誰でもない、僕が大好きな曲を。